時代が生んだ氷河期界隈、子育て支援も極寒 「政治利用」に冷めた目
>>2025年8月11日 5:00
日本経済新聞
連載「溶かせ氷河期世代」は就職氷河期世代の意外な現状を探ろうと取材を始めました。1978~82年生まれの男性の正規雇用率がようやく9割を超えた事実や、世代後半は出生率の低下に歯止めをかけていたデータを取り上げました。
明るい兆しを見つける以上に、なお苦境が続いている実態も見えてきました。失われた30年と働き盛りが重なり、様々な面で社会のしわよせを受けてきたことがうかがえます。
かくいう私も氷河期世代。取材に当たった20~30代の記者たちをうらやむ気持ちがないではありません。連載では伝えきれなかったエピソードをまじえ、氷河期世代の実相に迫ります。
(経済・社会保障グループ次長 倉辺洋介)
取材で話を聞いた40代男性がこぼした言葉が忘れられません。正社員として就職し、3年ほど働いたら転職してキャリアアップをめざす――。いまでは当たり前の働き方ですが、「辞めても次はない」と言われた氷河期世代にとって夢のまた夢だったのだと痛感しました。
意外だったのは、嘆きの感情だけではないということです。ある男性はIT(情報技術)や生成AI(人工知能)のスキルを身につけて仕事に生かしてきたといいます。激しい時代の変化に食らいつく挑戦を続けてきた自負が彼らを支えているのでしょう。
雇用に年金、住まい、親の介護。氷河期世代が近い将来直面する問題はより複雑になります。厚生労働省は氷河期世代が対象の政策を複数の部局が別々に担当しています。いわゆる縦割り行政です。
取材する際も、厚労省の階段を上り下りしながら支援策の全体像をつかむ必要がありました。
「今後のキャリア設計について相談しようとしても、国や県が同じようなコンサルティングサービスを提供していてどれを選んだら良いのかわからない」。取材ではこんな声も聞きました。
縦割りの壁によって支援の手が届かなくなる事態がないようにしてほしいところです。
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